お食事処

其の弐 自家製窯焼きパン (Hausgebackenes Brot aus dem Holzofen)


   麦で作った飾り (ヨーロッパのパン博物館)

地球上に住むわたしたち人間は、何某かの穀物を食べて生きています。

日本人やアジアの多くの人たちは米を炊き、メキシコや中米の人たちはトウモロコシを粉にして、ドイツやヨーロッパの人たちは麦を粉や粒にして、そこから生地を作ってパンを焼きます。

言うまでもなく、ドイツ人は毎日パンを食べます。毎日口にする物だからこそ愛着もあり、いろいろな知恵も施され、沢山の種類があります。

ドイツを旅した方はホテルやユースホステルの朝食でブロートヒェン(Brötchen)やゼンメル(Semmel) と呼ばれる手のひらぐらいの大きさの表面がキツネ色の小麦のパンを食べたことがあるのではないしょうか。

露店のソーセージについてくるパンもこのブロートヒェン、ゼンメルです。

ドイツの最も典型的なパンといっていいでしょう。

でも、たまには他の種類のパンにも手を伸ばしてみましょう。

ドイツのド真ん中では、田舎風、農民風といわれるライ麦の混じったパンを紹介します。

日本の食パンやドイツのブロートヒェンの小麦の淡白な味になれた方には、ライ麦パンをはじめて口にする時きっと違和感を覚えるにちがいありません。パンをかじった瞬間、独特の酸っぱい味が口の中に広がります。そしてそれから爽やかな香りとなります。噛むごとに酸味がゆっくりと甘味に変わってゆきます。これがライ麦の魅力です。

ドイツの町じゅうのパン屋やスーパーで手軽に買うことができます。

しかし更に美味しいパンを食べたい方には、薪をくべて炊いた昔ながらの窯で焼いたパンをお奨めします。

    薪が沢山積んであり、窯が真っ黒。これこそ醍醐味。

「細道を行く 其の弐 エーバーゲッツェン」で紹介したヨーロッパのパン博物館内のカフェテリア、「カフェ・バックシュトゥーブル(Café Backstübl)

昔からの自家製の窯焼きライ麦パンを食べることができました。

それは、ライ麦パンの酸味、香り、甘味もさることながら、薪で炊いてこその「炎」の味がします。

きっと町中のパン屋さんの電気のオーヴンでは真似できない味にちがいありません。

町のパン屋さんのオーヴンはパンを焼くための適温を設定することができます。

けれでも薪で炊く窯ではそんなことは不可能。この不可能の妙が自家製のパンに「炎」の味を付け加えてくれます。

というのも、電気オーヴンでは温度と時間さえ設定すればパンは勝手にきれいなキツネ色に焼きあがります。

しかし薪の窯では窯の温度が熱すぎて、このパンの表面、耳が硬くこげついてしまいます。

しかし、ご飯のおこげが美味しいように、パンはカリカリに香ばしい味に仕上がります。それは焼きたてのせんべいか、クッキーのよう。

カリカリに乾いた耳を音を立ててバリバリ、ボリボリ齧ったあとにしっとりとした爽やかな酸味が胸の中いっぱいにひろがります。

これが自家製窯焼きパンの楽しみ方です。

しかしパンはご飯と同じで、それだけで食べてもつまらいもの。ご飯におかずがあるように、パンにもいろいろな物をのせたり、塗ったりして楽しみましょう。

いろいろな物をのせることができます。バター、ジャム、チーズ、ハム、ソーセージなどなど。

ジャム、チーズ、ハム、ソーセージには、更に沢山の種類があります。それを試すのもまた楽しいものですね。

わたしは「ヨーロッパのパン博物館」で二通りの食べ方を楽しみました。

    ケーゼブロート

ひとつは、ケーゼブロート (Käsebrot)。自家製パンがすっかり隠れるほどチーズをのせてくれます。

チーズは農家で作られたハーヴの入ったもの。その上にトマトとキュウリをトッピング。

チーズの柔らかさとパンの耳のカリカリ感、脂肪の豊かな味とおこげの「炎」の味がとても楽しいコントラストを生み出します。

    パンの鱒のヒレのせ

もうひとつは、パンの鱒のヒレのせ (Forellefilet auf Brot)。鱒はパンと同様に自家製の燻製。

こちらはライ麦のパンでなく、小麦のパンでしたが、香ばしいパンにバターを塗り、鱒の燻製とレモンを一切れのせます。

さらに西洋わさびのクリームをつけて、ナイフとフォークで食べやすい大きさに切って食べましょう。

たっぷりと脂ののった鱒とほのかにツンとくる西洋ワサビの組み合わせは素晴らしいものでした。  

   売店でパンも買えます。                                   

ドイツの町の至る所にパン屋さんがありますが、機会がありましたら、香ばしい自家製窯焼きパンを召し上がれ。

(2002年7月10日)

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