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其の拾六 白アスパラガスの食べ方 (Ein Rezept von Spargel)

5月のドイツの味覚はアスパラガス (Spargel)。
アスパラガスといえば、わたしたちには緑が一般的ですが、ドイツでは白いアスパラが普通です。
この白アスパラガスが店頭に並びはじめると、ドイツ人たちは爛々と目を輝かせます。
というのも、白アスパラは「野菜の王様」、「食べる象牙」とも形容され、
収穫の期間は限られていて4月末から伝統的に6月24日の聖ヨハネの祝日までと非常に短いためで、
ドイツ人たちがこぞって白アスパラを求めるのも納得できます。
白アスパラですが、こってりとしたバターと卵黄をベースとしたソース・ホランデーズ (Sauce Hollandaise: オランダ風ソース)で
食べるのドイツでは一般的なようです。
わたしもかつてドイツ人の友だちに誘われて、この方法で白アスパラを茹でて、一緒に食べました。
アスパラの皮を剥き、煮立ったお湯の中でバターとともに15分から20分ほど茹でて、
既成のパック詰めのソース・ホランデーズを温め、アスパラにかけていただきました。
友だちはとても満足そうに「美味しいでしょう?」と問い掛け、
「うん。美味しいね」とわたしははじめて食べる白アスパラガス料理に月並みな返事をしつつ、疑問を抱きました。
たしかに美味しいのですが、アスパラはフニャフニャになるまで茹でられて歯ごたえはありません。
そしてこってりのソースを白アスパラで食べている。
主役であるはずのアスパラが引き立て役のソースにすっかり食われている、そんな印象を受けたのでした。
5月の白アスパラのシーズンが訪れ、さっそく親しいグルメを自任するラインハルトに白アスパラの食べ方を教えてくれないものかと尋ねてみました。
「あぁ、いいとも。とっておきのレシピを教えてやるよ」とグルメの本領発揮せんと彼はにやり。
わたしと同様に彼もこってりのソース・ホランデーズと白アスパラの組み合わせには納得していません。
重たいソースではアスパラそのものの味も楽しめないし、フニャフニャになるまで茹でたのでは真の食感を味わえない。
ラインハルトの意見もまったく同じでした。
そこで彼がわたしに披露したレシピは次のようなもの。至ってシンプルな白アスパラの味わい方でした。
てっぺんを残して皮を剥く
白アスパラの根元2〜3センチを切り落とし、頭頂部を残して皮を剥きます。
鍋にお湯を沸騰させ、その中でアスパラを6〜7分茹でましょう。
お湯からアスパラを引き上げて、砂糖、塩を適宜ふりかけ、バターをのせて溶かします。
新鮮なナツメグを少々すりおろし、最後にレモンを搾ってかけます。
早速、出来たての白アスパラをいただきましょう。
短時間で茹でることでシャキシャキとした歯ごたえがあります。
グリーンのアスパラに慣れているわたしたちにはむしろこちらのシャキシャキ感のある方が親しみが湧くにちがいありません。
しかしシャキシャキ感ばかりでなくつるりとしたなめらかな食感も持ち合わせています。
噛めば、ほろ苦い香りが口の中いっぱいに広がります。
「これだと白アスパラそのものの味を楽しめるだろう?」とラインハルトが得意気にわたしを見ています。
これこそ本来の味なんだと、ほころんだ笑顔のままわたしは彼に頷きました。
ソース・ホランデーズでは脇役に甘んじていた白アスパラを主役の座に戻すことができたのです。
「野菜の王様」はこってりとしたソースの力を借りずとも本来の力量を発揮できるのです。
白アスパラのてんこ盛り
ドイツあるいはヨーロッパに暮らされている方で、白アスパラをソース・ホランデーズばかりで食べている方、
今回紹介したレシピでいただいてみてはいかがでしょうか。
(2004年5月7日)