| お食事処 |
其の拾五 昨日の美味しい残りもの (Der leckere Rest von Gestern)

ある日の午後、親友のラインハルトとスーパーマーケットで夕食の食材を買いそろえ、レジで支払いをおえると、
彼が「安くて美味いおやつをご馳走してやるよ」とわたしに言い、
スーパーの出口のすぐ脇に店を構えるパン屋へ歩いてゆき、
黒いおはぎのような物を指差して「お前は ルムクーゲル(Rumkugel) 知ってるか?」をわたしに訊いてきました。
わたしが知らないと答えると、彼は店員に一つそのおはぎらしき物を包んでもら
「これがドイツで一番安くて美味いケーキなんだ。何たってこれはなぁ・・・」とニヤリと得意そうに笑いました。
ドイツのお団子
その続きを彼は彼の家で説明してくれました。
ラインハルトによれば、一見日本のおはぎにも見えるこの ルムクーゲル というお菓子は前の日に焼いたケーキの型などに
こびりついたスポンジケーキを削ぎ落とし集めて団子状にまとめてラム酒をたっぷりふりかけ、チョコチップをまぶした物なのだそうです。
ルムクーゲル という名も、ルム(Rum)はラム酒、クーゲル(kugel)は球、団子を意味しますので、文字どおりラム団子とでもなりましょう。
(ケーキ屋さんでは正式なレシピを元に作られるルムクーゲルもあるそうです。)
ラム団子の中身
お味のほうですが、ラム酒の強烈な香りがやって来て、チョコレートの味がじわりと口の中に訪れます。
洗練にほど遠いお菓子ですが、わたしなどの世代には駄菓子屋の懐かしくどこかいかがわしく、そして憎めなくもあります。
残り物には福がある、と申しますが、ルムクーゲル、ドイツの昨日の美味しい残りものといったところでしょう。
ドイツを旅行される方、午後に小腹が空いたら、手近にあるパン屋さんに足を向けて、
立ち飲みのコーヒーと昨日の美味しい残り物、ルムクーゲルとで一息吐いてみてはいかがでしょうか。
お値段は一個、多少幅がありますが、50セントから1ユーロ以下で買い求められます。
(2004年2月8日)